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目 次T 成年後見制度U 法定後見V 任意後見T 成年後見制度 成年後見制度とは,何ですか?
成年後見制度とは,平成12年4月1日から,介護保険制度とともに新しく開始した,認知症・知的障害・精神障害等で判断能力(事理弁職能力)が不十分な方を援助する制度です。特に近年では,高齢化社会の進展に伴い,認知症等のため悪徳商法の被害に遭う方が増えていますが,成年後見制度は,このような被害を防止するためにも役立ちます。
この成年後見制度には,次の2種類の制度があります。 1 法定後見制度 本人の判断能力が既に不十分な場合,申立人(本人・配偶者・4親等内の親族等)の申立てに基づいて家庭裁判所が選任した成年後見人・保佐人・補助人が,本人に必要な行為をする制度。 2 任意後見制度 本人の判断能力が十分なうちに,本人が定めた将来の代理人(任意後見受任者)との間で,判断能力低下後の代理権等の内容を決定し,公証人が作成する公正証書により任意後見契約をする制度。
成年後見制度でできることには,どんなことがありますか?
成年後見制度でできることには,次の2種類があります。
1 財産管理(民法859条)
成年後見制度でできないことには,どんなことがありますか?
成年後見制度でできないことには,次の2種類があります。
1 医療行為に関して,同意又は拒否をすること
2 身上監護に含まれないもの
後見が開始したら,そのことが戸籍に記載されるのですか?
いいえ,戸籍に記載はされません。成年後見に関する情報は,後見登記により公示されます(後見登記等に関する法律参照)。
U 法定後見 法定後見制度には,どんな種類がありますか?
法定後見制度には,次の3種類があります。
後見人には,誰がなるのですか?
家庭裁判所によって,適任と思われる人が選ばれます。申立人・配偶者以外でも,親族・知人のほか,弁護士・行政書士・司法書士・社会福祉士等の法律・福祉の専門家を後見人に選任することができます(第三者後見人,職業後見人)。
なお,後見開始の申立書には,申立人が希望する後見人候補者を記載することができます。 後見人の人数に制限はありますか?
後見人の人数に制限はありません(民法843条3項参照)。複数の後見人が選任された場合には,後見人間の意見の対立により事務の執行に支障を来すことのないよう,家庭裁判所は,各後見人の権限を調整します(同法859条の2)。
後見人には,報酬を支払う必要がありますか?
後見人は,家庭裁判所の審判によって,後見人及び本人の資力その他の事情によって,被後見人の財産の中から相当な報酬を受けることができます(民法862条)。ただ,そのためには,後見人は,家庭裁判所に対し,報酬付与の申立てをする必要があります(家事審判法9条1項甲類20号)。
V 任意後見 任意後見制度は,なぜ必要なのですか?
法定後見は,家庭裁判所が関与して,最終的な決定をする制度です。これに対して,任意後見は,援助を希望する人自身が選んだ人(任意後見受任者)との間で任意後見契約を締結し,その内容も自身で決めることができます。「自分の後見のあり方を自らの意思で決定する」自己決定権の尊重(ノーマライゼーション)の理念を最大限に活かすことに意義があります。
なお,任意後見契約があるときは,原則として,法定後見を開始しないこととされています(任意後見契約に関する法律10条)。 任意後見契約は,どのようにして行うのですか?
任意後見契約は,必ず公正証書でしなければなりません(任意後見契約に関する法律3条)。 任意後見と遺言は,どこが違うのですか?
遺言は,自己の死後における財産の管理方法等を生前に定めておく制度です。これに対し,任意後見は,自分が死亡する前に判断能力が不十分になったときに備えて,自分の信頼できる人との間で財産の管理方法を定めておく制度です。
事務処理の連続性の観点から,任意後見と遺言を併用するのも有効な利用方法です。この場合,任意後見人と遺言執行者に同一人を指定する方法が一般的です。 遺言については,こちらをご参照ください 任意後見の利用形態には,どのようなものがありますか?
任意後見の利用形態には,次の3種類があります。
1 即効型 2 将来型 3 移行型
任意後見人(任意後見受任者)には,誰がなるのですか?
任意後見契約においてどのような人を任意後見人(任意後見受任者)に選任するかは,委任者である本人が自由に選ぶことができます。配偶者・親族以外でも,知人,弁護士・行政書士・司法書士・社会福祉士等の法律・福祉の専門家を任意後見人に指定することができます(第三者後見人,職業後見人)。
ただ,任意後見受任者が未成年者,破産者,行方不明者,本人に対して訴訟を提起したことがある者,不正な行為・著しい不行跡のある者である場合等,任意後見受任者に不適任な事由がある場合には,家庭裁判所での任意後見監督人選任審判において選任の申立てが却下されて,任意後見契約の効力が発生しないことがありますので注意が必要です(任意後見契約に関する法律4条1項3号参照)。 任意後見人(任意後見受任者)は,1人でないといけないのですか?
任意後見人(任意後見受任者)は,複数名でも構いません。この場合には,各自が任意後見人としての権限を行使できるとするか,又は共同してのみその権限を行使できるとするか,いずれかを選択して定めなければいけません。
任意後見契約は,いつから効力が発生しますか?
任意後見契約は,原則として,本人が精神上の障害により判断能力が不十分な状況になった場合に,任意後見受任者や親族の申立てにより,家庭裁判所が任意後見監督人選任の審判をした時に効力が発生し(任意後見契約に関する法律4条1項本文),任意後見人は,その業務を開始することになります。
任意後見の開始事由があるかどうかの判断には,鑑定の必要はなく,医師による診断書で足ります(特別家事審判規則3条の2)。 任意後見監督人の選任は,なぜ必要なのですか?
任意後見人は,本人の判断能力が低下した後に事務処理をします。そのため,任意後見人の事務処理が適正に行われているか否かを本人がチェックすることは難しいため,任意後見監督人がこれをすることとなっています(任意後見契約に関する法律7条参照)。
任意後見監督人は,どんなことをするのですか?
任意後見監督人は,任意後見人からその事務処理状況の報告を受け,これに基づいて任意後見人の事務処理状況を家庭裁判所へ報告し,その指示を受けて任意後見人を監督します(任意後見契約に関する法律7条)。
家庭裁判所が,自ら選任した任意後見監督人を通じて任意後見人の事務処理を監督することにより,任意後見人の代理権の濫用を防止することができる制度となっています。 任意後見人は,本人の代理人として遺言書を作成することができますか?
任意後見人は,遺言書の作成等の本人の身分上の行為を代理することはできません。
なお,任意後見契約の効力発生後でも,本人に遺言をする能力があれば,本人自ら遺言をすることができます。 任意後見人には,報酬を支払う必要がありますか?
任意後見人の報酬については,民法の委任の規定に従って,任意後見契約の中で規定することができます。また,報酬を無報酬と定めることもできます。なお,任意後見契約の中で特に報酬に関する規定をしなければ,任意後見人は,無報酬になります(民法648条1項)。
一般的には,任意後見人を,第三者に依頼した場合には,報酬を支払うのが通常であり,親族が引き受けた場合には,無報酬の場合が多いです。 ご自身で対応されることに不安がございましたら,遠慮なく当職事務所にご相談ください。
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